大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)2385号 判決

控訴人は、「仮りに本件解雇が不当労働行為であるとしても、それは駐留軍が使用者として不当労働行為という違法な行為をしたものであるから、『日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う民事特別法』第一条により国に損害賠償責任があるのは格別として、右違法行為による労働法上の直接責任(不当労働行為の責任)が国にあるいわれはない。」と主張するので、まずこの点を判断する。

山本に対する本件解雇は駐留軍によつて決定されたものであつて、日本国政府が直接行つたものでないことはもち論であるが、成立に争のない乙第一号証の三十三(日米労務基本契約)の条項によれば、駐留軍労務者は駐留軍の労務に服してはいるが、法律上の雇用主は日本国であつて、またその雇入及び解雇についてはすべて駐留軍の決定するところに委ねることを日本政府機関である特別調達庁とアメリカ合衆国との間で契約しているにすぎないことが明らかである。従つて駐留軍労務者を解雇するに当り、駐留軍が不当労働行為に当ると認められる解雇決定をした場合においては、日本国政府は雇用契約の当事者すなわち使用者として自ら直接行つた場合と同様に取り扱われ労働法上の責任を免れることはできないものと解せられるので、控訴人の右主張は採用できない。

(浜田 伊藤 仁井田)

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